いい感じの場研究会は、こちらは、人と人とが出会う現場を“場”と捉え、それらの「なんかいい感じやねぇ」の感覚を探る研究会です。
研究会は、月に一度の頻度で開いています。毎回、手がかりになりそうな本を決めてはいますが、あくまでも本は呼び水で。脱線ばかりなので、ご心配なさらず。読んでいなくても、手元に本がなくてもご参加いただけます。
<今回の手がかり本>
良い映画は観たもの全員を語り部にする。人は作品に描かれている世界を語り、描かれていない風景をも語る。解釈をぶつけあう。しかしこのとき解釈の正否というものはほとんど意味をなさない。議論する人はみな同じ作品を語りあいながら、異なる景色を見つめている。美しい同床異夢。にもかかわらず、ときにそれは通じあう──。
コンテクストデザインとは、それに触れた一人ひとりからそれぞれの「ものがたり」が生まれるような「ものづくり」の取り組みや現象を指す。換言するならば、読み手の主体的な関わりと多義的な解釈が表出することを、書き手が意図した創作活動だ。
コンテクストデザインは、読み手を書き手に、消費者を創作者に変えることを企図する。作者が作品に込めたメッセージやテーマ=「強い文脈」をきっかけに、読み手一人ひとりは解釈や読み解きをおこなう。この「弱い文脈」の表出こそを意図したデザイン活動が、世のなかに不足している。コンテクストデザインは個々の弱い文脈の表出を促す。
現在、デザインは一部の人の肩書きや組織のなかの部署名としての役割を超えることはない。デザインはしかし、より広範に活かされるべきだ。受け手の自主性を心地よく刺激し、受け手の想像力を刺激する仕事にも及ばなくてはならない。これからのデザイナーに求められるのは、人の創造性を高めることだ。
そのためには「不完全で」「無目的な」ものづくりこそが意味を持つ。使い手が、自らの想像力でそれを完成させるために。枯山水の波紋が、形を持った水としてではなく、鑑賞者の想像上の波紋として心のなかで結像するように。
東京・ロンドン・NYを拠点に活動するデザイン・イノベーション・ファームTakramのパートナーでありコンテクストデザイナーの渡邉康太郎による著作。
<日時>
5月21日14:00〜15:30頃
<開催方法>
ZOOM
参加ご希望の方は、下記のフォームからご回答をお願いします。
https://forms.gle/vUjaZz5mzFtuFob67