短歌日記 25.01.15-25.01.21

生活者の探究/表現
1/15

夕立へ人工呼吸を怠ると箱庭の壁が握りつぶす

混濁していくことは心地がいい。優も劣もなくなっていくから。苦しさが純化されていく。

しんどい感情に息をさせていこう。棲家がないから、喰い破ってくる。

1/16

抗鬱剤をあおり往け 内のひだを溶かして結社に所属せよ

川に、雲に、あこがれてゆけ。

1/17

ひたすらな畦道で前後すら消ゆ 脚に歩かされる殻となれ

なんで毎朝起きるんだろう、と本気で思っている。

ただ在ることは、なんて難しいのか。1時間前の俺は俺じゃない。その事実を生きることに疲れるときがある。

1/18

生きたくないから生きたいと唄った
あの朝露のような姿で

岸政彦さんの『ビニール傘』を読む。生のさみしさが宿っている気がする。そこに切実さがある。

1/19

またひとつ灯りが消える
黒目で息継ぐ惰性が指を鳴らして

日々を意図的に平板化させて、生きのびている節がある。スイッチオフ。それは生きのびていると言えるのか。

1/20

「なぜ僕はヒーローの洗脳を拒否したの?」
縄に聞けども無言で

どう生きていきたいのかを、妻とはなす。ずっと満ち足りないのでは、と怖くなる。幸せなのに。

1/21

風よ吹け あの窓たちをこじ開けて臓物をかき乱すほど吹け

内に閉じると、腐っていく。仕事も作業も、その内側に取り込まれさえしなければ、かきまぜてくれるものになる。

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