
作家の池澤夏樹さんが個人編集を務め、全30巻にわたる『日本文学全集』を読破しよう…と友人と読書会をはじめます。
僕はいわゆる“文学”というものに、とんと疎いまま育ってきました。小説は好き。大好き。でも、文学作品はどこか遠い存在で。図書館や本屋さん、教科書などで存在は知っていても、読んでみようという気にならなかったんです。
そのときの感情を見つめると、どうやら「わからなかったらどうしよう」という、ちっぽけなプライドがあることに気づきました。
本が好きと言いつづけているのに、文学と呼ばれるものを理解できなかったら…。そこでなにかが損なわれるはずないのに、本好きと名乗る資格がないと感じてしまいそうで。
けれど、ずっと読みつがれている文学作品の魅力にも触れてみたい。人を惹きつけてやまないものを感じてみたい。
ちっぽけなプライドと文学作品からの引力のせめぎあい。それを友人に話していて、教えてもらったのが「池澤夏樹=個人編集 日本文学全集」でした。いろんな作家さんが新訳を担当しているのも面白い。
ひとりだとまだ難しいかもしれない。でも友人の肩を借りてなら…と、「全30巻を読破しようの会」を開くことになりました。
文学作品なんて読んだことないよ、という方とこそ一緒に読み進められたら嬉しいです。
<今回の本>

<版元より>
栄華を極める光源氏への女三の宮の降嫁をきっかけに、揺るぎない六条院の調和が崩れ始めていく。最高傑作とされる「若菜 上・下」を含め、22帖「玉鬘」から41帖「幻」までを収録。
この中巻の「若菜(上・下)」のために源氏物語があると言っていい。
――池澤夏樹
感情の描きかたの複雑さとリアリティ、その比喩の巧みさに私は何度も息をのんだ。
そして気づいたのである。この作者は、負の感情、弱さや迷いや悲しみを書くときに、
筆がずば抜けて生き生きしている。 ――角田光代
第五冊目は『源氏物語 中』。
前回読んだ「上」を経て、中巻に突入です。はじめて通読してみている源氏物語。さまざまな浮名を流す光源氏は、いまの価値観だけで測るとクソ男と呼ばれても仕方ないのですが、作品全体に流れている“憂い”がそうさせるのを拒む感覚がありました。
栄華を極めつつも、だからこそ浮かび上がってくる人間の儚さ。僕はもう源氏物語の虜です。中巻も楽しみに読んでいきます。
※今回取り扱うのは、中巻に掲載されている<二十二帖「玉鬘」から四十一帖「幻」まで>です。文庫版もあるのですが、巻の区切り方が異なっているので、ご注意ください。
<日時>
5月27日20:00〜21:30頃
<開催方法>
ZOOM
参加ご希望の方は、とろ火のDMや問い合わせ、info@torobibook.comなどへご一報くださいませ。ZOOMのURLをお送りします。
