出版社でも、出版レーベルでもなく、「出版活動」がしっくりくる。

火守りのつれづれ

この記事は、「とろ火書房」という名で出版活動をしていくなかで考えたこと、感じたことを記していく日誌です。どういう本をつくりたいのか、お金の悩み、具体的な企画のはなし…など、さまざま綴っていこうと思います。

第0回

<自己紹介>
安久都智史/Satoshi Akutsu
1995年関西生まれ。Webメディアの編集長などを経て、2023年に誰かと一緒に迷いつづけるための活動「とろ火」をはじめる。死生観をたずね歩いて記録したり、読書会をしたり、短歌を詠んだり、夜明けを散歩したり。流れている水と雲に惹かれる。妻と息子がだいすきです。

よし、出版活動をやっていくぞ…と決めて、友人に声をかけ、第一回目の作戦会議をしたのが11月19日。なにも決まったものはないまま、「友人と僕とのあいだにあるテーマで本をつくってみたい」というはなしだけをさせてもらった。

そこから4回ほど重ねて、なんとなくのテーマも決まり、中身についても大筋が見えてきて、“つくっていく”は動けるような気がしてきている。

そもそも、僕も友人もライター/編集としてやってきているので、企画を練って実際に形にしていくこと自体は馴染みがある。けれど、それを自分のお金をなげうって本にしていくとなると、当たり前だけどなにをどう考えていったらいいかがわからなくなってしまった。

考えることはたくさんある。活動にあてる予算、本のサイズ、装丁や本文デザインを誰に頼むか、ページ数、利益はどれくらいを狙うか、発行部数、発行後の動き、利益の分配、いつくらいに発行できたらいいか…

思いつくまま書いてみると、あれやこれやが積みに積まれている。えいやと自分で旗を立てて進めるとは、さまざまを自分で決めることだ。そんなことは知っていたけれど、いざ降りかかってくると、結構なエネルギーが必要なことなんだなと思う。

さて、なにから決めていくか。まずは、活動の方向性を決めないといけない。

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方向性と書くとそれっぽいけれど、要は、この活動をどれくらいの規模でやっていくか。タイトルに「出版活動」と書いているよう、いわゆる「ひとり出版社」にする気はない。じゃあ、「出版活動」ってなんなのか。

本をつくるぞ、と思ってから、たくさんの情報を調べてみた。ありがたいことに、「ひとり出版社」「ひとり出版レーベル」の諸先輩方が決心から設立まで、さまざまな体験談を残してくれている。

その数だけ、形やこだわりも違っていて。設立時点で3冊ほどの刊行を決めている方もいれば、「どうしてもつくりたい一冊があるから、出版社にする」という方もいる。「これで食っていくんだ」と意気込んでいる方もいれば、なんとなしにつづいてきている、という方もいる。

いろんなケースを見てきて、身も蓋もないけれど、結局のところは「その人がなぜ出版活動をするのか」「出版活動でなにを感じたいのか」によるんだよなと思った。

じゃあ僕は…と問うてみると、「さまざまな活動のなかの一つとして本をつくっていく」が最もしっくりくる。現状、つくりたい本も『ちいさな火に手をかざしあう』という名前にしたシリーズだけ。本をつくって手渡して…はやっていきたいけれど、それだけをやっていたいかと言われると明確にNOだった。

なんだか、中途半端だなぁと思う自分もいる。いいものをつくるのに覚悟は必須ではないはずだけれど、芯のようなものは必須だろう。なんとなくでは、いいものはつくれない。僕はいいものをつくりたい。ある種の腰掛けのようなものづくりで、いいものをつくれるだろうか。不安になってくる。お金と時間を注げばいいものができるわけでもないのに。なんちゃって本になるんじゃないか。しょうもないものしかつくれない気がする。

ぐずぐずと書いてしまった。日々、「本をつくりたい」と「こんな俺が…」を反復横跳びしている。なにもはじまっていないのに疲れてきている。

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それでもやっぱり、友人と作戦会議するのはいい時間になるし、企画を妄想している時間はあっというまに過ぎるし、「どういう形にしようか」と考えながら本屋をふらふらするのは楽しい。

結局は、そこに感じたいものがあるから、ある種の手段として出版活動をしていくんだよなと思った。良くも悪くも。覚悟なんて、持とうとして持てるもんでもない。

そもそも、覚悟を持って大きくはじめるような性格や体力は、残念ながら微塵も存在していない。そんな自分でも、というか、そんな自分だからつくれる本をつくりたいし、だからこその出版活動のあり方を探したいんだよなと思う。

手段や言い訳、口実なのだと思う。そして、そこに自分の好きや得意、興味関心をかけ合わせたときに、解のひとつとして「誰かと一緒に本をつくること」が出てきた。

人生を賭けるわけではないけれど、たしかな大切なものにつながる選択として、本をつくっていく。だから、出版社でもなく、出版レーベルでもなく、動きや流れを指し示す「出版活動」がしっくりくる。

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じゃあ、出版活動に沿った規模ってなんなんだ…という大きな問いが残るものの、具体的な金額感が正直まったくもってわからない。

というわけで、とある印刷会社さんに問い合わせをし、相談をさせてもらうことになった。ぐっと解像度が高まるとよいのだけれど。楽しみです。


とろ火書房 安久都智史
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